住まい
2025-04-18

マンション購入で注意する点

目次

大都市圏では土地価格が高価で一戸建ては相当に家計を圧迫するため、土地購入代金が安く済むマンションは、自宅を所有するための主な選択肢となります。ただし、メリットとデメリットがあるため安易な選択は避けたいものです。

今回は、マンション購入のメリット及びデメリットを踏まえ、マンション(新築・中古)を購入する際の注意点について詳しく解説いたします。

マンション購入のメリット・デメリット

マンション購入における代表的なメリット、デメリットとして、以下が該当すると考えられます。  

【メリット】
  • 立地などの利便性が良い
  • セキュリティの充実
  • 共用施設などがある
  • ワンフロアで生活できる
  • 快適(気密性・断熱性が高いことによる低光熱費、高層階では眺望が良いなど)
  • 風水害などの災害の可能性が低い
【デメリット】
  • 管理費や修繕積立金など毎月の費用が発生する
  • 近隣への音など配慮が必要
  • 大規模修繕時の費用負担や修繕の可否がしばしば問題にあがる
  • 駐車スペースの確保(駐車台数の制限や駐車場代の負担)  

マンション購入時の注意点

新築マンション購入時の注意点

(1)合同で購入手続きを行うことが多い

1棟のマンションで多くの世帯が同様の手続きをするため、販売会社はできるだけ合同で手続きを済ませたいと考えます。販売側からすると、個別でも合同でも手続きの内容は変わりませんが、購入側にとっては、その場の雰囲気による断りにくさを感じたり、質問がしにくかったりするなど、デメリットを感じる場合もあります。  

◆合同手続きの例

(2)ランニングコストの発生
【修繕積立金】

マンションに将来発生する外壁や屋根、エレベーター等共用部分の修繕は、マンションの購入者(区分所有者)で団体(管理組合)を構成し、維持管理・修繕を行います。修繕工事の実施時に、多額の費用を一括で支払うのでは、区分所有者の負担が大きくなり合意形成が困難であるほか、資金不足により修繕工事ができない可能性もあるため、将来予想される修繕工事に要する費用を、20~30年などの長期間にわたり計画的(長期修繕計画)に積み立てていくのが修繕積立金です。  

修繕積立金の積立方法には、長期修繕計画により算出された修繕工事費の累計額を計画期間中、均等に積み立てる方式(均等積立方式)の他、当初の積立額を抑え段階的に積立額を値上げする方式(段階増額積立方式)があります。また、購入時にまとまった額の基金(修繕積立基金)の徴収や、修繕時に一時金を徴収または金融機関からの借り入れを前提とした積立方式を採用している場合もあります。段階増額積立方式の場合は、将来の修繕積立金がどれくらいになるのかを事前に確認しておきましょう。

新築マンションでは段階増額積立方式を採用しているケースが多く、併せて販売時に修繕積立基金を徴収している場合もあります。

図 1:国土交通省:平成 30(2018)年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状より

【管理費・駐車場料金】

国土交通省による「平成30年度マンション総合調査結果」によると、駐車場使用料等を含む一戸当たりの管理費総額は平均で月額15,956円、駐車場使用料等からの充当額を除く一戸当たりの管理費の平均は月額 10,862 円であることから、相場としては一戸当たりの月額として管理費10,000円、駐車場料金1台あたり5,000円を見積もっておく必要があります。

中古マンション購入時の注意点

新築マンションの購入と基本的には変わりませんが、中古マンションならではの注意点があります。  

(1)修繕積立金や管理費などの滞納

原則として売買までに発生した修繕積立金や管理費の滞納分は売主に支払い義務がありますが、滞納されたまま買主が購入した場合、マンションの管理組合は区分所有法により滞納分の修繕積立金や管理費の支払いを買主に請求できます。請求された買主には支払い義務が発生するため、事前に修繕積立金や管理費などの滞納については確認が必要です。  

ただし、不動産業者を通じて購入する場合、不動産業者は契約締結前に管理組合などに滞納の有無や、滞納がある場合は金額を確認し重要事項説明時に明らかにするため、滞納をそのままにして売買を進めることは基本的にありません。一般的には次の1~3により買主の負担にならないようにしています。  

  1. 売主の自己資金や受領した手付金により決済日までに滞納を解消する
  1. 売買代金により決済日当日に滞納を解消する
  1. 滞納分を売買代金から値引きし、買主が購入後に滞納分を支払う

1,2の場合は契約書に「売主の責任で滞納を解消する」という特約を明記してもらうようにしましょう。また不動産業者による滞納の確認がいつ行われたのかも大切です。契約日よりも数ヶ月前などでは、その後に滞納している可能性もあります。さらに2のケースでは、決済日当日に時間が無いなどの理由で「後日延滞分は解消しておきます」などと約束して決済を終えてしまうと、後にトラブルになってしまう可能性もあるため注意しましょう。  

(2)管理体制の確認

マンションを管理するのは区分所有者で構成される管理組合ですが、現実的には管理会社に様々な業務を委託しているケースが一般的で、委託の範囲は管理組合の会計、出納、維持・修繕に関する企画・実施の調整などの事務管理業務や、受付、点検、立会い、報告連絡などの管理員業務、清掃業務、建物の外観点検やエレベーター、電気、給排水、消防、機械式駐車場など各種設備の保守・点検を行う建物・設備管理業務など、マンションによりさまざまです。

図 2:管理組合と管理会社

管理組合の運営や管理会社への業務委託などをチェックするため、過去3年分程度の総会議事録や管理規約、長期修繕計画書などは仲介業者等を通じて入手しておくことをお勧めします。総会議事録を読めば、いまマンションが抱えている課題や区分所有者の意識度合いもある程度把握でき、修繕積立金や管理費の延滞についても確認ができるはずです。  

(3)長期修繕計画の確認

長期修繕計画を作成している管理組合の割合は90.9%1であり、約1割のマンションでは長期修繕計画が作成されていません。また、修繕積立金が計画に対して不足していたり、計画そのものが実態に見合っていなかったりする場合は、将来の大規模修繕の際に、大きな負担を強いられる可能性もあります。長期修繕計画は今後のマンション管理に直結する重要な要素のため、マンションを購入する前には次の1~4の内容を調べておきましょう。

  1. 長期修繕計画の有無
  1. 修繕積立金の設定額と不足額
  1. 大規模修繕工事が未実施かどうか
  1. 長期修繕計画の見直しをしているか

図 3:修繕積立金計画(国土交通省「平成 30(2018)年度マンション総合調査」)
図 4:修繕積立金の積立状況(国土交通省「平成30(2018)年度マンション総合調査」)

戸建て住宅におけるランニングコストは、固定資産税や都市計画税と火災・地震保障の費用に加えて、必要に応じた修繕費用ですが、マンションの場合は個別に修繕をせずとも、あらかじめ決められた修繕積立金と管理費・駐車場料金といった戸建て住宅には無い費用が必要です。イニシャルコストは戸建て住宅より安かったとしてもランニングコストが思いのほかかかってしまうケースもあり、戸建て住宅との比較は生涯で支払う費用の算出が不可欠です。  

まとめ

Shinesでは、住宅購入や賃貸に関するご相談を含め、幅広くお金に関するご相談に対応しております。「資産形成に関心が出てきたが、何からはじめてよいかわからない」「退職が近づき、漠然と将来のお金に関する不安がある」といった方も、ぜひ一度お気軽に個別相談へお申し込みください。