住宅のリフォームは、既存住宅の断熱性の向上や設備機能の向上、見た目にも新しくなるなど生活の質を向上させるための重要な手段です。
しかしながら、リフォームの目的や内容は多岐にわたり、それなりの支出も必要になります。経済的負担の軽減には、住宅リフォームに関する様々な補助金制度をうまく活用することが肝要です。
今回は、住宅リフォームの主なメリット・デメリットと知っておきたい補助金制度について、詳しく解説いたします。
リフォームのメリット
(1)居住空間の改善
リフォームの最大のメリットは、居住空間の質を向上させることです。古くなった設備やインテリアを新しくすることで、住み心地が格段に良くなります。特にキッチンやバスルーム、洗面、トイレなど水回りのリフォームは、使い勝手の向上と同時に衛生面の改善に大いに寄与します。
(2)エネルギー効率の向上
断熱材の追加や窓の交換、エネルギー効率の高い家電の導入など、リフォームを通じてエネルギー効率を向上させることができます。これにより、光熱費の削減や環境負荷の軽減が期待できます。
(3)資産価値の向上
リフォームを施すことで、住宅の資産価値が向上することがあります。特に市場で人気の高いデザインや機能を取り入れたリフォームは、売却時のメリットとなる可能性があります。
(4)安全性の向上
古い住宅は耐震性や防火性に問題がある場合があります。リフォームを通じてこれらの安全性を強化することで、安心して住むことができます。また、老朽化した配管や電気系統の改修も、安全性の向上に繋がります。
(5)快適性と利便性の向上
リフォームにより、ライフスタイルに合わせた快適な空間を作ることができます。例えば、バリアフリーリフォームを行えば、高齢者や障がい者にとって使いやすい住まいになります。また、収納スペースを増やすことで、家の中がより整理整頓され、生活の利便性が向上します。
リフォームのデメリット
(1)コストの問題
リフォームには大きなコストがかかることが多く、また壁の中を開けてみると木材が腐っていたり、断熱材にカビが生えていたりと、予想外の問題が発生し修繕費用の追加が必要になるケースもあります。計画段階でしっかりとした見積もりとゆとりのある予算取りが重要です。
(2)工事期間中の不便さ
リフォーム中は、騒音や埃、工事関係者の出入りなどで日常生活に不便を感じることが多く、大規模なリフォームでは一定期間の仮住まいなどが必要になるケースもあります。また、仮住まいしない場合でもリフォーム工事中は生活環境が一時的に悪化することは避けられません。リフォーム工事により生活空間が制限されるため、ストレスを感じることがあります。
(3)価値の上昇が期待外れになる場合
リフォームによって資産価値が上がると期待していても、必ずしもその通りになるとは限りません。市場の動向や地域の需要によっては、リフォーム後の価値が思ったほど上昇しないケースもあります。
(4)計画通りに進まないリスク
天候や施工業者の問題、予期しない建物の構造上の問題などが原因で、予定していた工期で終わらないケースもあります。仮住まいをしている場合は賃料の追加などが必要です。
(5)内装や設備のリフォームでは構造躯体は新しくならない
補助金の活用
補助金の活用も重要なポイントです。日本国内では、さまざまな補助金制度が用意されており、これを利用することでリフォーム費用の一部を軽減できます。
ここでは、主な補助金制度について紹介します。

補助金の申請は書類やその内容が非常に専門的であり、個人が作成できないようなものが多く、また場合によっては個人申請ができず登録業者が申請するものもあるため、リフォーム工事の契約前に、補助金の利用ができる業者かどうか、また補助金の申請をきちんとやってくれるかどうかを確認しておく必要があります。
自治体独自の補助金
この他にも、自治体が独自に行っている補助事業などもあり、調べてみると良いでしょう。主に以下のA~Cのような目的の補助金が多いようです。
A. 耐震改修補助金
耐震性の向上を目的とした改修工事に対して、国や自治体から補助金が支給されます。古い住宅を地震に強い構造にするための費用を一部負担してもらえます。
B. 介護リフォーム補助金
高齢者や身体障がい者が安心して住めるように、バリアフリー改修を行う際に利用できる補助金です。手すりの設置や段差の解消など、介護が必要な方の生活をサポートするための改修が対象です。
C. 省エネ住宅補助金
エネルギー消費を抑えるためのリフォームに対して支給される補助金です。高効率の給湯器や太陽光発電システムの導入、窓の断熱改修などが対象となります。
構造躯体は変わらない
見た目や性能・機能は新しくなっても、リフォームでは建物の構造自体は変わりませんし、「リフォームでは築年数が新しくならない」という当たり前ですが根本的なデメリットがあります。しかし、「せっかくリフォームしたので、すぐに建て替えるのはもったいない」と家中をリフォームしてしまうケースもあります。さらには、壁を剝がしてみると構造躯体である木材が腐っていたなどという事例もあり、耐震性を考えると最初から建て替えていればもっと安く済んだ可能性すらあります。
少額なリフォームであれば気軽に利用しても良いと思いますが、ある程度の規模になるリフォームでは、住む人のライフプランに加えて、建物の状況なども考慮する必要があります。「リフォーム業者に勧められた」などの理由で安易に決めないようにしましょう。