保険
2025-11-07

自動車補償の必須3特約、知っていますか?

目次

対面で契約する自動車保険では、加入の際にご自身で特約を選択しているケースは稀ですが、ネットで加入するダイレクト系では保険料削減のため本来必要な特約に加入していないケースもあります。本コラムで、特に必要な特約を3つ覚えておきましょう。

1.弁護士費用の特約

自動車に関わる被害事故等により、相手方に損害賠償請求する際に弁護士に相談したり、手続きを委任したりする場合にかかる費用をカバーする特約です。

メリットは、以下です。

  • 自己負担がなく、自分で示談交渉する場合に比べて大幅に受け取れる賠償金額がアップする傾向にあります。
  • ご家族が加入する保険・共済でも弁護士特約を利用できるため、家族の誰か一人が加入していれば契約ごとに加入する必要はありません。
  • 特約を利用しても翌年の掛金や等級に影響はありません。

この特約があれば、法律に詳しくない一般の方でも安心して賠償請求が行えます。

この特約は、「相手から支払われる賠償金を大きくするための特約」と思われがちですが、実際には「もらい事故」の示談交渉では必要不可欠な特約ともいえます。

保険にも共済にも一般的には事故の相手との示談交渉を引き受ける「示談交渉サービス」があります。これにより事故の相手との交渉をせずに済みますが、「自分に過失がないもらい事故」の場合、保障団体は示談交渉ができません。これは保障団体の示談交渉サービスが弁護士法の第72条「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止」に抵触するためです。

弁護士法第72条では「弁護士又は弁護士法人でない者による法律事務の取扱い等」を禁止しています。法律事務には示談交渉の代理が含まれるため、保険会社や共済団体が弁護士法人でもない限り、事故の相手との示談交渉はできません。ではなぜ「示談交渉サービス」が成立するのかというと、事故の双方に過失がある場合は、保険契約者や共済加入者の過失分は保障団体が相手に支払うことになるため、「示談交渉の代理」ではなく「保障団体が事故の当事者」という立場で相手と交渉するのです。

しかし、自分に過失がないもらい事故では、保障団体は相手に金銭を支払う必要が無く、事故の当事者とはならないため、相手との示談交渉はまさに示談交渉の代理になってしまいます。

つまり、相手方と保障団体は交渉ができないため自分自身で示談交渉する必要がありますが、弁護士費用の特約があれば、弁護士等に示談交渉を委任もでき、その費用負担にも備えられます

2.対物超過修理費用の特約

信号などで停車中の車に追突してしまった場合、相手との話の中で「全額弁償しますのでご安心ください」などと言ってしまうケースがあります。これは「自分は対物賠償に補償金額無制限で加入しているから大丈夫」という安心からくる発言ですが、対物賠償の無制限とは「物の評価額を上限に無制限」という意味であり、修理費用を無制限で支払うものではありません。

相手の車に衝突した場合

たとえば相手の車に追突したのであれば、まず相手の車の評価額を算出します。

次に修理費用を確認し、修理費用が評価額以下であれば修理費用の全額が対物賠償から支払われますが、修理費用が評価額を超える場合は対物賠償から支払われるのは評価額までとなります。

評価額とは車種・年式・走行距離等に基づいて保険会社が算定する車の時価額をいうため、年式の古い車では修理費用が評価額を超えてしまうことがしばしば発生します。

ダイアグラム が含まれている画像自動的に生成された説明
図 1:対物超過修理費用の特約(イメージ)

そこで、対物賠償補償の対象となる事故において、相手方の自動車に評価額を超える修理費用が発生した場合に、その差額を補償する特約が対物超過修理費用の特約です。保障団体により対物超過特約、対物全損時修理差額費用特約といった名称の場合もあります。

事故時付随費用

たとえば、旅行先で事故を起こし自力走行ができなくなると、帰宅のための交通費や、当日帰宅できない場合は宿泊費など、予定外の費用が発生します。また、事故により自力走行できない車は、修理工場まで移送して修理が必要です。そのような場合の費用を補償するのが事故時付随費用の特約です。

以前は特約として別途保険料を支払っていましたが、最近では無料のロードサービスに組み込まれるものが多くなりました。また、ロードサービスそのものを特約として保険料を徴収している保障団体もあります。

つまり、以下3パターンがあります。

  1. 事故時付随費用を別途支払うケース
  2. 事故時付随費用を含むロードサービスが無料のケース
  3. 事故時付随費用を含むロードサービスが有料のケース

したがって見積もりの比較は、事故時付随費用とロードサービスを付けた状態で比較する必要があります。

3.代車費用の特約

車の修理期間中は代車を用意してほしいものですが、修理工場では原則として有料となりますし、レンタカーを利用すれば別途費用が発生します。

こくみん共済 coop マイカー共済の「付随諸費用補償」(任意付帯)には、「代車費用補償」がセットされています。

この補償では、①事故により被共済自動車を修理している期間、②全損事故や盗難で被共済自動車が使用不能となり、共済金が支払われるまでの期間に、レンタカー等の代車を借り、その費用を被共済者が負担した場合、1日につき7,000円を限度に支払います。

ダイレクト型自動車保険の多くは、自動付帯のロードサービスに含まれる代車補償に、事故現場から自宅や目的地に向かうまでの間で、事故発生から24時間以内などの利用制限を設けているケースがあります。修理期間をカバーするための代車補償は別途、特約を付帯する必要があり、保険料負担が大きくなるため注意が必要です。

本コラムの内容をきっかけに、ぜひ3つの特約には漏れなく加入しておきましょう。