保険
2025-11-14

子どもが運転免許証を取得したら

目次

運転者の範囲を限定

自動車補償では運転者限定特約などと呼ばれる補償される運転者の範囲を限定する特約を付加することで、保険料や共済掛金が安くなります。

一般的に運転者限定特約にはいくつか種類があり、例えば、こくみん共済 coop のマイカー共済では、①契約者本人・配偶者のみ選択できますが、①契約者本人限定、②契約者本人・配偶者限定の2種類から選択できる自動車保険もあり、保障団体ごとに制度が異なります。

表 1:マイカー共済(こくみん共済 coop )の運転者限定

運転者の範囲が狭くなればなるほど保険料・共済掛金は安くなるため、契約者本人しか運転しないのであれば、「本人限定」は最適な補償といえます。ただし、補償対象ではない方が運転中に事故を起こした場合は、給付金支払いの対象とならないため注意が必要です

日本では核家族化の影響によって、同居の家族全員を運転者範囲とした家族限定特約の廃止が進み、その代わりに新たな需要を見込んで、2000年代に本人限定特約が登場しました。近年では運転者の本人限定特約が増加傾向のようです。

また、「親族」を「6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族」としたり、「別居の未婚の子」とは「いまだ結婚していない子をいい、離婚または配偶者の死亡により単身になった子は含みません」など、保障団体ごとに定義が異なるため、詳細は各団体に確認する必要があります。

運転者の年齢条件

運転者の年齢を限定することにより、保険料・共済掛金を抑えることができます。ただし、設定年齢に満たない方が運転中に事故を起こした場合は、給付金支払いの対象とならないので注意が必要です。一般的には①年齢問わず補償、②21歳以上補償、③26歳以上補償、④35歳以上補償と4つの区分が存在します。保険料・掛金の設定は保障団体ごとに異なりますが、①→②で6割程度になり、②→③で8割程度、③→④で9割のイメージです。

「運転する子ども」がいる場合

世帯主が40代以降の世帯では、運転免許を取得した子が親の車を運転する場面が想定されます。その際に、損保各社の自動車保険では、別居かつ未婚の子は年齢条件の適用を受けませんが、同居の子が運転する場合は年齢条件の適用を受けるため、親の自動車補償の運転者年齢条件を子どもの年齢まで引き下げる必要があります。

なお、こくみん共済 coopでは運転者年齢条件を変更せず、「子供特約」を付帯することで子どもを補償の対象に追加できるため、掛金面で大きな優位性があります。

例えば48歳の方が年齢条件を35歳以上としていた場合の年間掛金が32,990円だとすると、同居未婚の子が運転免許証を取得し、親の車を運転するようになったときは、年齢条件を問わない契約に変更しなければならず、年間掛金は78,800円になってしまいます。しかし、年齢条件は35歳以上のままで子供特約を付帯すれば年間掛金が71,940円で済むため、年間6,860円の節約になります。

図 1:こくみん共済coop マイカー共済「子供特約」

ただし、子供特約は同居未婚の子が年齢条件の対象とならなくなる特約であるため、現在の契約が補償される運転者の範囲を運転者本人と配偶者に限定している場合そもそも同居未婚の子は補償対象とはならず、制度上は子供特約を付帯している場合には、「運転者本人・配偶者限定特約」は付帯できないようになっています。

一方で、損害保険各社の扱う自動車保険では子供特約がほとんど存在せず、同居未婚の子に運転をさせる場合は、運転者の年齢条件を全年齢としておく必要があります。また、その際には運転者の範囲も本人や本人・配偶者などから、同居未婚の子も対象となるよう変更しておく必要があるため注意が必要です。

1日自動車保険を選択

頻繁に運転しないのであれば、運転する日だけ別の保険に加入するという方法もあります。1日だけの短期間で加入でき、運転当日の申し込も可能です。保険料はクレジットカードや、月々の携帯料金と合算での支払いも可能です。スマホでいつでも加入できますし、コンビニエンスストアでも申込みや保険料の支払もできます。

表 2:東京海上日動火災保険「ちょいのり保険」

この選択であれば、同居未婚の子だけでなく、別居している未婚や既婚の子も、親の自動車補償に関する運転者の範囲や年齢条件を変更することなく運転できます。

東京海上日動「ちょいのり保険(1日自動車保険)」や三井住友海上「1DAY保険(ワンデイ保険)」など、扱っている保険会社も増えておりニーズの高さが伺えますが、保険金支払い時の免責金額が大きいケースや、運転者自身や

同乗者の補償には搭乗者傷害補償しか選べないケースもあるなど、補償が十分ではない場合もあり、あくまでも補助的な補償である点は否めません。

お子様のいらっしゃる世帯においては、保険料・共済掛金だけでなく、補償内容もしっかり調べたうえで加入する自動車保険を選択しましょう。