資産形成/運用
2026-09-01

相続後の手続きと相続の基礎知識について

目次

はじめに

「相続」と聞くと、相続税の申告や節税対策を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際に相続税の申告が必要になるのは全体のわずか10.4%ほど。多くの方に関係するのは、税金の話よりも先に始まる「相続手続き」です。預貯金の解約や不動産の名義変更、健康保険証の返却など、財産の多寡にかかわらず、相続が起きれば誰もが向き合うことになります。相続は「突然始まる手続き」ですが、全体像を知っていれば慌てずに済みます。


相続後の手続きには期限がある

相続後の手続きには期限が設けられているものが多く、うっかり過ぎてしまうと不利益が生じることもあります。主な期限は次のとおりです。

  • 7日以内:死亡届と火葬許可書の提出
  • 14日以内:健康保険・介護保険の資格喪失手続き、年金の停止
  • 3ヶ月以内:相続放棄・限定承認の申述(該当する場合)
  • 4ヶ月以内:所得税の準確定申告(必要な場合)
  • 10ヶ月以内:相続税の申告(対象者のみ)
  • 3年以内:不動産の登記
相続後の具体的な手続きのフロー図
図1:相続発生後の主な手続きと期限の流れ

会社員の方は平日に役所や金融機関へ足を運ぶ時間を確保しづらく、それが負担を大きくする要因になりがちです。まずは「急ぐもの」と「落ち着いて考えるもの」を分けて整理することが、精神的な負担を軽くする第一歩です。


誰が相続人になるのか

亡くなった方を「被相続人」、財産を引き継ぐ方を「相続人」と呼びます。誰が相続人になるかは民法で定められており、配偶者は常に相続人、続いて第1順位は子、子がいなければ第2順位の直系尊属(父母・祖父母)、それもいなければ第3順位の兄弟姉妹という順序です。上位の相続人がいる場合、下位の方は相続人にはなりません。

法定相続人の順位を示す図
図2:法定相続人の順位

財産の分け方も民法で「法定相続分」として定められていますが、有効な遺言書があればその内容が優先されます。さらに相続人全員が合意すれば、法定相続分や遺言書の内容と異なる分け方をしても問題ありません。


遺言書と遺留分に注意

遺産分割では遺言書の内容が優先されるため、まずは遺言書の有無を確認しましょう。公正証書遺言は公証役場の検索システムで全国どこからでも確認できます。一方、自筆証書遺言は開封せず家庭裁判所での「検認」が必要です(法務局の保管制度を利用していれば検認は不要です)。

また、遺言によって法定相続分を侵害された場合に主張できる権利を「遺留分」といいます。遺留分が認められるのは配偶者・子・直系尊属のみで、兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースでは、「全財産を配偶者に相続させる」と遺言しておけば、配偶者はそのまま自宅に住み続けられます。

甥や姪に財産を遺したい場合も、法定相続人ではないため遺言書による意思表示が欠かせません。生命保険の受取人に指定する方法も、確実に財産を渡す手段として活用できます。


まとめ:まずは全体像を把握することから

相続は、税金の話より先に「手続き」が始まります。家族を亡くした直後の慌ただしい中で、期限のある手続きに向き合うのは決して簡単ではありません。だからこそ、事前に全体の流れと期限を知っておくことが、いざというときの安心につながります。ご自身やご家族の状況に照らして疑問が浮かんだ方は、Shinesの個別相談もご活用ください。