がんは予防と早期発見・早期治療が大切です。日本においても、多くの人々ががんと闘っており、その影響は家庭や職場、社会全体に及びます。また、子どものいる世帯の4分の1はひとり親世帯である昨今、親の長期療養は子どもにも大きな影響を与えるため重要視すべきはがんの予防ですが、治療、長期療養が必要になったときにも子どもや家族に対する影響を最小限に留めるためには、経済的にも不安が無いよう備えておく必要があります。
がんの予防
がんの予防は、健康的な生活習慣の推進から始まります。国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」が、がん研究振興財団から2011年に公開されています。日本人を対象とした疫学調査や、現時点で妥当な研究方法で明らかとされている証拠を元に新たにまとめられています。
- たばこは吸わない
- 他人のたばこの煙を避ける
- お酒はほどほどに
- バランスのとれた食生活を
- 塩辛い食品は控えめに
- 野菜や果物は不足にならないように
- 適度に運動
- 適切な体重維持
- ウイルスや細菌の感染予防と治療
- 定期的ながん検診を
- 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
- 正しいがん情報でがんを知ることから
これまでの「がんを防ぐための12か条」との違いは、禁煙を受動喫煙も含め2項目にわたって最初に掲げた点、さらに定期検診などによる早期発見、正しい情報でがんを知ることを追加した点です。
また、国立がん研究センターをはじめとする研究グループは、日本人を対象としたこれまでの研究を調べ、日本人のがんの予防にとって重要な、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの改善可能な生活習慣に「感染」を加えた6つの要因を取りあげ、「日本人のためのがん予防法(5+1)」を定めています。
実際の調査結果でも、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの改善可能な生活習慣に気を付けて生活している人とそうでない人で将来がんになる確率が異なるという結果が出ています。
国立がん研究センターでは、日本全国の11の保健所の協力を得て、調査開始時点で年齢40歳から69歳の男女、総計140,420人を対象に、生活習慣とがんやほかの病気の罹患についての追跡調査を実施しており、この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示されました(図1)。5つの健康習慣を実践することでがんリスクはほぼ半減します。

NECグループのカフェテリアプランでは「スポーツ奨励」として、各種スポーツ施設の入会金・年会費・月会費・利用料・施設費・事務手数料やスポーツ教室のレッスン料(スキースクール・テニススクール・ゴルフレッスン等)、スポーツイベント参加料(マラソン大会等)やスポーツ用品の購入・レンタル費用にカフェテリアポイントが利用できます。また、「健康サポート」では禁煙プログラムにもポイントが利用できます。「がんを防ぐための新12か条」や「5つの健康習慣」でも運動や適正体重の維持、禁煙がいわれているため、1つでも多くの実践し健康習慣を身につけていきましょう。
早期発見
がん検診は適切な実施により確実な効果が得られることから早期治療開始により死亡率を減少させるなど重要な役割を担っています。また、がん検診といっても企業における健康診断や市区町村などの住民検診に代表される「対策型検診」と、人間ドックなどの「任意型検診」があります。対策型検診は、対象集団におけるがん死亡率の減少を目的としており、対象となる人々が公平に利益を受けるために、有効性の確立したがん検診が推奨されます。
一方、任意型検診は、医療機関などが提供し個人が任意で受診します。多くの検査方法が提供されていますが、がん検診として有効性の確立していない検査方法が含まれる場合があります。ただし、目的が「個人の死亡リスクを下げる」とあるように、自分に合った検診を選択できるためメリットは大きいといえます。

早期治療
がんの診断を受けた場合は、迅速かつ適切な治療を受けるよう心がけましょう。がん病巣を手術で切除する手術療法(外科療法)、抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする薬物療法(化学療法)、射線を照射して、がん細胞を死滅させる放射線療法を三大療法といい、そのほとんどが公的健康保険の対象です。
NECグループの社員と健康保険における被扶養者は、日本電気健康保険組合から高額療養費の付加給付があり、25,000円を超える医療費は全額払い戻されるため、最終的な自己負担は月額25,000円と限定されます。「がんの治療費は高額になる」とイメージされる方も多いようですが、ここでも手厚い企業内保障が社員とその家族を守ってくれます。
治療(療養)期間中の休暇
がん治療には長期の休暇が必要となる場合があります。単に仕事を休めば無給となりますが、原因が傷病であれば最大20日間賃金保障100%のファミリーフレンドリー休暇や、通算120日以上の休業で40,000円が支給される傷病見舞金があります。
さらには日本電気健康保険組合の傷病手当金の付加給付やNECファシリティーズが取り扱うNECグループ団体保険制度に「NEC 長期休業サポート」に加入していると、ほぼ収入は減少せずに済みますし、就業規則に基づき退職しても最長60才まで長期にわたって収入が補償されます。安心して療養に専念しましょう。
終わりに
がんの予防、治療、長期療養に関する社内制度は、社員の健康と企業の持続可能な発展にとって極めて重要です。企業が積極的にこれらの取り組みを推進することで、社員は安心して働くことができ、結果として生産性の向上や職場のモチベーション向上につながります。
しかし社員がこれら社内制度を把握せず、または適切な利用ができないと、せっかくの制度が効果を発揮できません。社内制度や効果的な利用の仕方などは「知っている人」が「知らないでいる人」に対して積極的に伝えてあげましょう。